ボラティリティと言えば、

  • インプライド・ボラティリティ
  • ヒストリカル・ボラティリティ

の二つがまずは頭に浮かびます。

トレードに重要なのはインプライド・ボラティリティです。

ではインプライド・ボラティリティとヒストリカル・ボラティリティとは連動するのでしょうか。

インプライド・ボラティリティが変化する要因として、

  • 原証券の値動きの速度
  • 原証券の値動きの幅

の2つにフォーカスしてヒストリカル・ボラティリティとインプライド・ボラティリティの関係を考えていみました。

ヒストリカル・ボラティリティとインプライド・ボラティリティ

それぞれのボラティリティについてまずは説明します。

ヒストリカル・ボラティリティとは

ヒストリカル・ボラティリティとは、原証券の日々の引値から計算されるボラティリティです。

例えば日経平均の20日間のヒストリカル・ボラティリティと言った場合、過去20日の前日比を取ってきて、その変化率から標準偏差を計算します。

計算のやり方は以下の記事で紹介しています。

エクセルでヒストリカルボラティリティを計算してみよう

2017.07.25

マーケットの過去の価格を使って計算するので、ヒストリカル、と言います。

過去データを使っているので、未来がそうなるかどうかはわかりません。

ただ計算は簡単です。

また長い期間で見た時にはその証券固有のボラティリティがあると考えられています。

例えばトヨタのような大型株とそーせいのような新興株とを長い期間でヒストリカル・ボラティリティを計算して較べると、トヨタの方がヒストリカル・ボラティリティが低く安定的であるということがわかります。

安定的であるということはリスクが小さいということになります。

ファイナンスの世界では、ヒストリカル・ボラティリティが低い銘柄はリスクが低い銘柄、ヒストリカル・ボラティリティが高い銘柄はリスクの高い銘柄、とされます。

また日経平均のヒストリカル・ボラティリティを長期的に計算すると、1年程度でみるとどの期間でも安定的に20%弱のヒストリカル・ボラティリティになっていることが計算で確かめられます。

長期的にみれば、各証券毎に平均的なボラティリティを持っていると考えられ、通常時であればその固有の平均的なボラティリティで価格は推移するとも考えられています。

その性質を前提に、VaR(バリュー・アット・リスク)なのど手法ではヒストリカル・ボラティリティを使ってリスク管理が行われます。

インプライド・ボラティリティとは

インプライド・ボラティリティとは、市場で売買されているオプション価格から計算されるボラティリティです。

オプション市場の参加者がこの先マーケットが荒れると考えれば、高いプレミアムでオプションは売買されますし、今後緩やかな相場が続くと考えれば安いプレミアムでオプションは売買されます。

ヒストリカル・ボラティリティが過去のデータから計算されるのに対して、インプライド・ボラティリティはマーケット参加者の将来の予想を反映するものになっています。

ですからインプライド・ボラティリティを予想変動率とよんだりします。

オプションマーケットも株と同様に自分がどう思うかよりも周りの人がどう思うかが大事、というケインズの美人投票と同じです。

トレードにおいては、マーケットコンセンサスのこれからの予想がどうなっているかを把握することが大切です。

ですからトレードではヒストリカル・ボラティリティよりもインプライド・ボラティリティの方が大切、ということになります。

インプライド・ボラティリティとヒストリカル・ボラティリティは連動するのか

インプライド・ボラティリティとヒストリカル・ボラティリティはある程度連動します。

実際にマーケットの動きが大きくなれば、オプション価格が上がるのでインプライド・ボラティリティも上昇しますし、逆にマーケットの動きが鈍くなればインプライド・ボラティリティも下落します。

ただしヒストリカル・ボラティリティは過去のデータの平均ですので、どうしても遅行指標になります。

特に長い間動きがなかった後に、1日大きく動いてもヒストリカル・ボラティリティは大きくは上昇しないからです。

インプライド・ボラティリティが上昇するのはどちらのパターン?

次の2つのうち、どちらがインプライド・ボラティリティが上昇しやすいでしょうか。

  1. 上下どちらかに2%動いた後に、結局前日終値とほぼ同じ水準で引けた場合
  2. 上下どちらかに1日かけてじりじりと2%動いた場合

通常は行ったり来たりしている1の方がインプライド・ボラティリティが上がる傾向にあります。

ヒストリカル・ボラティリティは1のケースは下がってしまいます。

インプライド・ボラティリティは値幅よりもスピードの方が優先されやすい

ガンマ・ショートのポジションを持っているときのデルタヘッジを考えてみましょう。

例えば日経平均が2%動いて値幅が出たとしても、ギャップなく1日かけてじりじりと上昇、もしくは下落した場合には淡々とデルタヘッジをすることができます。

逆にギャップを開けて寄り付いたり、大引け前の5分程度の時間で一気に2%動いたりした場合、デルタヘッジをきれいに行うことは難しくなります。

本来ガンマから発生するデルタヘッジの先物損益と、1日のセータの損益は見合うというのがオプション理論の基本です。

ガンマショートのヘッジでは、先物が1日2%動いたとしても、日中のデルタヘッジが少しづつできるようなゆっくりとした先物の動きであれば、そう大きな問題はありません。

ガンマショートのヘッジで問題になるのは、先物の価格が寄付きでジャンプしたり、先物の上昇や下降のスピードが速すぎてヘッジがついていけない時です。

原証券の値動きの幅が同じであっても、ガンマから出てくるデルタを簡単にヘッジできるかどうかでインプライド・ボラティリティが上昇するかどうかが変わってきます。

また日中何度も上下に動いたものの、結局引値ベースでは前日比が変わらない場合などもガンマショートポジションのデルタヘッジが困難になるのでインプライド・ボラティリティは上昇します。

前日と今日の引値ベースでの値幅が同じであっても、日中の値動きのスピードや、乱高下しているかどうかでインプライド・ボラティリティの動きは変わってきます。

引値ベースの値幅だけで計算されるヒストリカル・ボラティリティを使う場合には、この値幅以外のスピードや日中の動きに注意しながら使う必要があります。

ヒストリカル・ボラティリティで捉えきれない動きをどうするか

引値ベースのデータのみを使うヒストリカル・ボラティリティではインプライド・ボラティリティの動きと連動しない場合があります。

ヒストリカル・ボラティリティで捉えられない動きを見るために、自分は2つの方法を取っています。

  1. ATR(Average True Range)を使う
  2. 前場、後場、夜間の3つのセッションごとにヒストリカル・ボラティリティを計算する

1のATRについては、True Rangeという指標をヒストリカル・ボラティリティの計算における前日比の代わりに使うものです。

True Range

True Rangeとは、

  1. 今日の高値から今日の安値を引いたもの
  2. 前日の終値から今日の安値を引いたもの
  3. 今日の高値から前日の終値を引いたもの

以上3つのうちの一番大きいものを取ったもの、になります。

例えば今日の高値が130円、安値が120円、前日終値が125円の場合、130円-120円=10円がTrue Rangeになります。

もし昨日の終値が110円で、窓を開けて寄り付いて、今日の高値が130円、安値が120円だった場合、130円―110円=20円がTrue Rangeになります。

前日終値でポジションを持っていた場合に、どのくらい損益が振れたか、という真のレンジ(True Range)を計算しているわけです。

あとはこのTrue Rangeを前日比の代わりにしてヒストリカル・ボラティリティと同じように計算するだけです。

20日間の平均True Range(ATR)を出すのであれば、直近20日間の毎日のTrue Rangeを計算して終値で割って、その20個の数字を平均してだしてやります。

前場、後場、夜間に分ける

前場、後場、夜間に分けて、それぞれの時間帯ごとにヒストリカル・ボラティリティを計算します。

そうすることで、1日の中で株価に波があった場合、その波を捉えることができます。

1時間ごとなどもう少し細かく区切ってもかまいません。

自分の場合は、ATRを使っているので、この方法はあまり使っていません。

ヒストリカル・ボラティリティだけではなく、ATRも見よう

オプションのトレード、特にベガリスクを伴ったトレードをする場合、ATRをみることは非常に有効です。

自分はインプライド・ボラティリティの予想の目安に、ATRとヒストリカル・ボラティリティを併用しています。

なぜならガンマショートのポジションヘッジが簡単か、難しいかがATRの動きに現れると考えているからです。

他にも高値・安値の幅や1日に100円幅動いた回数など、ガンマショートのヘッジが簡単か、難しいかという観点でいろいろな指標が考えられます。

いろいろな指標を考えてみると、自分のオプショントレードに幅が広がるのを感じると思います。

ぜひ自分独自の指標を作ることで、オプショントレード自体を考えるきっかけにしてみてください。


大暴落、急騰に強い日経オプション買い戦略入門

Udemyというオンラインコースのページで公開している講座です。
225OPTIONというコードを使うと1200円でコースを受講できます。