日経1078円下落は底打ちか、VIXインバースの罠

2018年2月6日の日経平均は21603円と前日比で1078円(4.76%)も下げました。

1月23日には24000円を越えていたので、この2週間で約2500円(約10%)の下落です。

しかしその晩のNYダウは567ドル高と反発しています。

これを書いているのは2月7日の寄付前です。

果たして昨日の下げで日本株は底を打ったのでしょうか?

2週間の下落の要因

下落の要因はいろいろあります。

100円を割り、軟調なドル円。

特に材料もなく、昨年末から1000円以上の値上がりで高値警戒感があったこと。

米国株も同様に強い上昇トレンドにあったものの、高値警戒感から何かあれば下がるという不安があったこと。

などなどいろいろな要因があって、じり安が続いていた、と考えています。

最後の数日の下落の要因

ただ最後の数日間の下落については、じり安の後の総悲観売り、という感じで、必ずしも特定の理由があったわけではないと考えています。

セリングクライマックスだった可能性は高いです。

VIXインバースという余計なトドメ

ただ2月5日の米国市場の下げは、ちょっと別の要因があると考えています。

とくに2月5日の下げは最後の1時間で大きな下落になりました。

引けにかけて何か理由があった可能性があります。

この引けにかけての下げの大きな要因が、VIXインバースという商品だった可能性があります。

VIXインバースとは

VIXインバースとは、簡単に言うと、VIXが下がれば儲かる、VIXが上がれば損をする、という商品です。

日本では2049というコードでETNが上場されて「いました」。

ただこのVIXインバースは単純にVIXの動きに連動するわけではありません。

細かい仕組みは省きますが、ボラティリティには期間構造があるために、VIX自体が低いまま動かない時にもじりじりと儲かっていきます。

つまり、

VIXが下がれば儲かるし、VIXが低位安定でも儲かる、というものです。

つまり、何かの拍子でVIXが上昇したところで買えば、マーケットが落ち着くにつれてVIXが下がることで儲かり、

さらにそのまま平穏なマーケットが続けば、さらに儲かり続けるという商品でした。

ですから日本でも米国でもこの商品に対する投資は増えていたわけです。

ちなみに期間構造については下記の記事を参考にしてください。

ボラティリティとスキュー(Skew)や期間構造、ボラティリティカーブについてまとめてみた

2017.08.16

2018年2月7日のメルマガの引用

以下は、2月7日より前に出したメルマガからの抜粋・引用です。

日本株は全面安

昨日の日経平均は大幅下落、一時は1500円を越える下げとなりました。

21000円を割れる寸前の場面もありましたが、

結局21603円での引けで、1078円(4.76%)安の大きな下げになっています。

また小型株も、マザーズが9.17%の下落と大きな下げで、全面安となったことがわかります。

東証1部の値下がり銘柄数も2027となり過去最多、271銘柄が安値更新という状況でした。

米国は切り返して反発

一方でNYダウは、朝の寄付こそ567ドル安で始まりましたが、結局567ドル高で引けています。

23時半からのマーケットを見ていましたが、あっという間に前日比プラスになりました。

一時は600ドルを越える上昇もありました。

底打ちではないか、と2つの理由から考えています

これで底打ちか、というのはこれだけの動きの後なので早計ですが、

自分は底打ちになる可能性が高い

と考えています。

理由は2つあります。

1、ボラティリティ・インデックス
2、米国金利の長短金利差

の2つです。

1つめは、

今回の最後の下げの大きな要因の一つが200兆円と言われる水準まで膨れ上がっていたボラティリティインデックスへの投資

だと考えているということです。

2つめは

長期金利の上昇に注目が当たっているが、まだ短期金利の上昇になっていない

ということです。

それぞれ少し細かく見ていきます。

VIXインバースの早期償還による底打ちの可能性

1つ目のボラティリティ・インデックスへの投資ですが、

これについては2週間くらい前にヘッジファンドのトレーダーと会って話をしたときに、

VIXの先物の引け際のぶれ方が大変なことになっている、

という話を聞いていました。

これは、VIXインバースという商品の投資額が膨らんでいることから起こっています。

商品の組成側は毎日、引けでヘッジのリバランスをする必要があります。

そしてそのリバランスの注文がVIX先物市場の引け際の動きを荒っぽいものにしている、という話です。

日経レバが引け際に大量の先物の売り買いを出す、という話を聞いたことがあるかもしれませんが、それと同じことがVIX先物でも起こっていた、ということですね。

VIX先物を利用した指数をショートすることで、ここ数年、それに投資した人は大きな利益を得ることが出来ていました。

日本では、2049というコードでVIXインバースETNというものが出ています。

この2049は2015年3月に10000円で設定されて、先月の2018年1月には40000円を越えました。

3年で4倍という投資でした。

これはVIXが下がれば儲かるというもので、

かつ

2ヶ月のボラティリティの売りと1か月のボラティリティの買いで構成されているものなので、平穏なマーケットが続いていると儲かり続ける、というものでした。

VIXが歴史的に最低水準でも、動きがなければ2049の基準値は上昇する可能性が高い、という仕組みになっています。

この辺の仕組みを詳しく知りたい方は、room5110というサイトを見るとよいかと思います。

まあ、とにかく、VIXインバースへの投資は

世の中が平穏であれば
コツコツと儲かる、

多少の株価の下げでVIXが上昇してもむしろそこで買い増しすると

株価がたとえ前の水準に戻らなくても
マーケットが落ち着いてさえくれれば儲かる

というものだったわけです。

そういった背景もあり、海外、日本国内でもじりじりとブームになっていました。

そのVIXインバースが一昨日の夜の米国株の下落で90%以上の暴落となり、強制的に早期償還されることになりました。

ニュースはこちら

じつはこの2049のようなVIXインバースの投資残高が増えると、

それに投資してヘッジする方は、基本はVIX先物でのヘッジします。

例えば2049を持っているということはVIX先物をショートしているのとほぼおなじなので、VIX先物を買えばヘッジになります。

しかしVIX先物でヘッジできなければ、株価が下がれば先物を売り、株価が上がれば先物を買う、というオペレーションも補助的に必要になります。

オプションのインプライド・ボラティリティにはSkewという構造があります。

ボラティリティとスキュー(Skew)や期間構造、ボラティリティカーブについてまとめてみた

2017.08.16

行使価格が低いほどインプライド・ボラティリティは高く、

行使価格が高いほどインプライド・ボラティリティは低い、

という関係です。

この関係で言えば、VIXインバースは株価が下がるとVIXが上昇し損をする、ということになります。

こういった投資が200兆円を越える投資額まで膨らんでいて、

そのヘッジのために手早く先物を売った、ということが考えられるわけです。

そういったVIXインバースという商品の大きな下落が、今回の下げの大きな要因の一つ、となっています。

ツイッターでつぶやいている人もいました。

正直昨日、2049が早期償還ということを聞いてそこで初めて、あっ、と思いました。

先日のヘッジファンドのトレーダーとの会話を思い出すのが遅かった、という感じです。

2049については自分も投資しており、

ピークの時は数百万持っていましたが、ほとんど売り払ってはいました。

VIXが倍になるような相場が来ると償還になるので、

VIXが10台での投資はすぐに何かあるとVIXは20、30まで上昇するので危険、

VIXが30とか越えてくるならそこでまた大きく買おう、

と考えていました。

しかし数十万円分については、根雪ポジションとして残していました。

その分が昨日の償還で数千円になってしまいました・・・。

まあそれまでの儲けが大きかったのでまあいいと考えていますし、

早期償還という可能性があると理解した上でも、ある程度の投資はキープしたほうが良いと判断して持っていたものなので

想定の範囲内ではあります。(ちょっと痛いけど。)

まああとは常にファーアウトのプットを買い持ちしているので、何かあればそれと相殺される、と考えていた部分もあります。

実際昨日のPLは2049の損失よりもだいぶ大きい利益がプットから出ています。

また2049と同じような商品が上場されれば投資すると思っています。

海外でも大きな波紋になっています。

CBOEのニュースはこちら

昨日の早期償還でいったんこのVIXインバースの騒動は終わりでしょう。

ということは

これが下げの大きな要因であればいったんは底打ち、

という可能性が高いと考えています。

先物でヘッジしていた人は買い戻しも入れる可能性もありますしね。

長期金利の上昇よりも長短金利差に本来は注目すべき

2つめの長短金利については、

長短金利差がまだピークアウトしていない

ということに注目しています。

昨年から米国の長期金利の上昇に注意、

とこのメルマガに書くときは

長期金利の上昇はすぐに株価波乱にならず半年くらいしてから、

といつも書いていました。

その理由は、

景気過熱で長期金利上昇、その後で短期金利が上昇し、それから株価の下落が始まる

と考えているからです。

長短金利差についてはこちら

こちらについては詳しい話は時間がないのでやめます。

今後のポジション方針

基本的に上記の2点を考えて、

底打ちと考えていいのではないか、

と考えているわけです。

ということで、

ポジションは少しだけロングにします。

また現物株用の資金も25%程度だけ、打診買いをする予定です。

オプションは

ボラティリティが下落したところでレシオコール
(ATM側売り1枚、Out側買い2枚)

などを考えています。

ポジション運営上の注意点

ただし、

これだけの混乱のあとですし、まだ乱高下が続く可能性があります。

もし何かテロなどのイベントが今あると、相場は一気に崩れる可能性は高いです。

また上記の理由などまちがえていて、まだまだ下げがここから本格化する

ということも考えられます。

ですから全面的にロング、とはしませんが、株価上昇、反発をメインシナリオにして、ポジションをコントロールしていくつもりです。