ビットフライヤーの現物とFXの乖離縮小策、SFDについて考察してみた

ビットフライヤーがSFD(Swap for Difference)を2018年2月8日から導入しました。

アナウンスメントはこちら

SFDが導入されて10日して、初めてSFDが発生しました。(2月18日)

今回導入されたSFDは、ビットコインの現物売買とビットコインFXという証拠金取引の間で価格差がある場合に、その価格差を修正するためにビットフライヤー社が考え出したものです。

(ビットフライヤーではビットコインの現物売買をLightning現物、ビットコインの証拠金取引をLightning FXという名前をつけて呼んでいます。)

僕自身はSFDでは根本的な乖離の縮小の決定打にはならない、と考えています。

これについて考えてみました。

まずはLightning現物とLightning FXとの違いは何?

ビットフライヤーでビットコインを不特定多数の注文を並べた板上で取引を行う場合、

  1. ビットコインの現物を売買するLightning現物
  2. ビットコインFXと呼ばれる証拠金取引を使って売買するLightning FX

という2つの方法があります。

2のLightning FXは証拠金取引なので、

  • 小さい資金でレバレッジを掛けた取引ができる
  • ポジション作成を買いからはもちろん、売りからも入れる
  • Lightning FXでロングにしたビットコインは実際に買っているわけではないので、他のアカウントにそのビットコインを送金することはできない

といった点が1のLightning現物とは違うところです。

このLightning現物とLightning FXとの価格が10%も20%も違ってしまう、ということが昨年末から1月にかけて恒常的に起こっていました。

この価格差(乖離)をなくそうということで、今回ビットフライヤー社はSFDの導入を決めました。

為替の証拠金取引を見てみると乖離はほぼゼロ

為替の証拠金取引を考えた場合、現物の取引も証拠金の取引も特に価格に差はほとんどありません。

もし証拠金取引が現物よりも10%も高い値段になっていた場合、現物を買って証拠金取引で売りを持てば簡単にほぼ10%の利益を得ることができます。

なぜなら証拠金取引の売りに対して現物を相手方に引き渡すことで決済できる、現渡という取引を行えるからです。

ビットフライヤーでは現引、現渡には30%のコストがかかる

ビットフライヤーでのLightning FXにおいても現渡、現引といった取引は可能です。

しかし現引、現渡の際には30%の手数料がかかります。

ですからLightning現物とLightning FXの間に30%以上の乖離がなければ現引、現渡をするメリットはありません。

現渡や現引の制度があれば、乖離はゼロに近づく

コストがかからずに現引や現渡の制度が整備されていれば、裁定が効くので証拠金取引と現物取引の乖離はほぼゼロに近づきます。

しかしビットフライヤーの30%の手数料と言う制度のもとでは、裁定取引の余地がなく、乖離は-30%~+30%の間で変動します。

この変動を抑えようとしてビットフライヤーが導入したのがSFD(Swap For Diffrence)なわけです。

SFD(Swap For Diffrence)とはどんな制度か

SFDとは現物とFXの間の乖離が大きい時に、その乖離を拡大させるような取引からSFDと呼ばれる手数料を徴収し、その取引の相手方にその手数料を支払う、というものです。

例えば、FXの価格が現物の価格よりも11%も高い、という乖離があった場合を考えます。

この時、FXを買うということは11%の乖離をさらに拡大させる力を働かせることになるので、FXの買い手からSFDを徴収します。

そしてその取引の相手方の売り手にそのSFDを支払うわけです。

今回導入されたものは下記のようなテーブルになっています。

現物とFXとの乖離 SFDの金額(約定金額に対するパーセント)
10%未満の時 0.5%
10%以上15%未満の時 1.0%
20%以上の時 2.0%

もし11%の乖離の際に1BTCが100万円の時に1BTCの買い取引をすれば、5000円のSFDが徴収されます。

一方でその約定の売りの相手には5000円のSFDが付与されることになるわけです。

ちなみにここまで書いた乖離などの話については過去にも記事を書いています。

ビットフライヤーのビットコインFXの乖離縮小策と裁定取引

2017.12.29

SFDで乖離は縮小するのか

SFDでは乖離は縮小することはない、と考えています。

一番の理由は、

取引時にコストをチャージするだけでは、建玉を作るときにコストがかかっても、結局その建玉を決済する時にはそのコストが返ってくることになる

からです。

11%の乖離で買い建玉を作るときに0.5%のSFDがチャージされても、乖離が縮小しない限りは買い建玉を決済する売り注文を出した時に0.5%のSFDが戻ってきます。

結局買いの時に払った手数料が売りの時に戻ってくるので、乖離が恒常化してしまえばSFDは意味がない、ということになります。

これもやはり事前にある程度予想がついていたことです。

以前の記事はこちら

SFD導入によるデメリット

SFDが初めて発生した初日を見る限り、SFD導入によるデメリットの方が目立っていました。

乖離が10%、15%近くになると値動きが荒くなり取引がしにくい

乖離が9.9%などになり10%に近くなったとします。

その時に買いたいと思っている投資家は、自分の注文を発注している間に10%の乖離を越えると0.5%のコストを支払うことになります。

ほんの少しの差で0.5%も買いコストが変わってしまうのですから、買い注文を出すことをやめる、ということになります。

実際に自分は今日そういった行動をしていました。

10%だけではなく15%、20%という段階でも同じことになります。

またSFDをもらいたいと考える売り方は指値をしながら上手く10%を越える乖離になるように売ろうと考えます。

実際にSFDがついた初日を見る限りは、10%などの節目のところでは売り手、買い手ともに思惑が大きくなり、通常の取引と違った需給が働き、値動きが激しくなっていました。

普通に取引したい投資家にとってはSFDはただただ迷惑なだけです。

 

10%などの節目ではサーバーが重くなる

本日実際に起きていましたが、SFDが付くかつかないか、といった場面では上記のような思惑が働くので、10%越えた途端、10%を割った途端、たくさんのオーダーが入っているようです。

そのたびに注文が受け付けられない、ということが頻発しました。

サーバーの増強も考えてほしいものです。

大口投資家による操作が可能になる可能性がある

現物とFXを較べると、現物の方が少ない元本で値段を動かすことができます。

APIを使って現物とFXを同時に注文を出せるようにしていれば、SFDを自分の有利なように動かすことも可能になりかねません。

例えば、9.8%の乖離の時にFXに大きな売り板を出します。

まだ10%未満なので買い方はこの売り注文を買おうとします。

その時に現物にほんの少し大きめの売りを出せば、乖離はあっという間に10%を越えます。

売り手は大きなサイズの売りポジションを0.5%有利な価格で作れたのと同じことになります。

まあその後乖離が10%以上で推移すれば結局手仕舞いの時に0.5%を返す必要がありますが、少なくとも乖離が9.8%のまま売りポジションを作るよりも有利になるでしょう。

こういったことは自動売買などに組み込むことは可能なので、資金がある投資家に有利だと考えています。

本日の注文の集中もこういった自動売買が数多く走っていたせいかもしれません。

株であればこういった取引はSECSによって摘発される可能性も低いながらもありますが、法律が整備されていない仮想通貨市場では取り締まる法律もありませんね。

APIでの機械アルゴに普通の投資家は少しづつ搾取される可能性

APIでのアルゴリズムトレードでないと、なかなかきれいに10%の乖離かどうかを見ながらトレードは出来ません。

10%に乖離が張り付く、などの現象はAPIによるアルゴトレードの賜物でしょう。

もちろんアルゴであっても多少の遅延はありますが、手入力よりははるかに有利です。

SFDの優位性を活かしてトレードするには手動での取引は難しいとことです。

APIを使ったアルゴで利益が出るということは、APIを使わない一般の参加者がそのアルゴの利益の分を少しづつ払っている形になります。

結論としては乖離が縮まらないのに、一部の投資家が利益を得るだけ

結論としては、SFDは意図していた乖離の縮小には貢献せず、一部の投資家に利益を与えるだけ、という酷い制度になっています。

このままSFDを続けても乖離の解消にはつながらず、普通にトレードする投資家に不利を与えるだけでしょう。

トレードを知らない人たちが、何も考えずに思い付きで制度を導入するとこういうことが起こる、という典型だと思います。

では乖離をなくすにはどうすればいいのか

では乖離をなくすのであればどういう方法をとるべきなのでしょうか。

現引、現渡の制度を整備する

一番本質的な解決方法は、現引、現渡の30%の手数料を大幅に引き下げることです。

しかしビットフライヤー側でのシステム対応が必要なので、コストを考えるとなかなか難しいのではないでしょうか。

SFDを階段型ではなく、比例型にする

現状の10%、15%、20%という区切りでSFDの水準を決めるのではなく、単純に乖離の10分の1をSFDとする、という形にする、という方法もあります。

これであれば節目のところで価格が妙な動きをするということは無くなるはずです。

ただしこれも根本的な解決にはなっていません。

建玉を作るときにコストは払うものの、結局手仕舞う時にそのコストが返ってくるのであれば、あまり取引の抑制にはならないからです。

新規取引のみSFDをチャージし、決済にはチャージしない

新規のみにSFDをチャージし、決済にはチャージしなければうまくいきそうに思えます。

しかしこの場合、取引が、新規買いと新規売り、決済買いと決済売りでたまたま成り立っていればいいですが、そうでない場合にはSFDの片側を一時的にビットフライヤーが肩代わりしたり、留保しておく必要があります。

これもシステム的には難しい話になると思います。

取引時のSFDと別に数時間ごとにポジションにチャージするSFDを導入する

一番現実的なのはこれかな、と思います。

ポジションを持っていることでもチャージがかかるようにする、というものです。

短期売買と長期売買の比率がどのくらいなのかビットフライヤー側はわかっているでしょう。

その比率を考えて、少しずつでもポジションの残高にも何らかのスワップポイントのやり取りを発生させるようにします。

そうすると10%以上の乖離の時にFXで売りポジションを作ると少しずつ儲けが出ます。

ですから、たとえマーケットの乖離が縮小しないままであってもFXの売り方は少しずつ儲けが出て、決済するときにSFDをチャージされても乖離が大きい時にFXの売りポジションを取ったという行為に対する利益を得ることができます。

現在の状況であれば、乖離が大きい時にFXで売りポジションを持っても、いつ乖離が縮小するかわからず、縮小せずに乖離がさらに開くと損失の恐れも大きい、ということになっています。

つまり乖離が大きい時にFXの売りポジションをもつことは、乖離が縮小すれば儲かるが乖離がさらに拡大した場合は損をする、という優位性のあまり感じられない単なる乖離を予想するトレードをしているだけ、ということになっています。

数時間毎にスワップポイントをやり取りすることで、乖離が大きい時にそれを縮小させる方向の売買をすることに優位性を持たせることができます。

優位性があればその優位性を取りたい投資家がショートポジションを組むので、乖離は小さくなるはずです。

現実的なのはSFDの段階方式を改めたうえで、ポジションにもスワップをかけること

本質的には現引、現渡のコストを引き下げることが一番の解決策でしょう。

ただそれができないのであれば、

現実的なのはSFDの段階方式を改めたうえで、ポジションにもスワップをかけること

だと思います。

現行のSFDでは、乖離を縮小するトレードをするのにあまり優位性がなくインセンティブがわかない、ということを何とか解消して欲しいものです。


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