ビットフライヤーのビットコインFXの乖離縮小策と裁定取引

ビットフライヤーで運営しているビットコインFXに現物との乖離を縮小させるような施策が入ることになりました。

2017/12/28にアナウンスされましたが、詳細は出ていません。

アナウンス直後にビットコインの価格もビットコインFXの価格も両方ともに下がりました。

なぜビットコインの現物まで下がるの、という声もチャットルームにはあったので、そのあたりも含めて今回の話をまとめてみました。

そもそも現物とFXとは何か?

ビットフライヤーではBitflyer Lightningというプラットフォームをつかって、ビットコインとビットコインFXという2つの商品を取引できるようにしています。

(他にもイーサリアムなどもトレード出来ますが、FXができるのはビットコインだけです。)

ではビットコインFXというのは何かというと、証拠金で取引できるビットコインになります。

いわゆる為替のFXや株の先物取引のようなものです。

最大15倍までのレバレッジを掛けることができます。

10万円も入れておけば、150万円分のビットコインが取引可能になります。

他の商品のレバレッジは、株の信用取引が3倍、FXが25倍(ただし今後10倍になる可能性あり)です。

ビットコインの値動きの激しさを考えると、15倍は十分に大きなレバレッジだと言えます。

GMOコインなど他社では25倍のレバレッジもあります。

しかしビットフライヤーは現物も含め、他社に比べて大きな流動性があるのでレバレッジ15倍のビットコインFXは十分魅力的な商品と言えるでしょう。

なぜルールが追加されるのか

金利や配当のないビットコインでは、現物とFXは理論的にはほぼ同じ値段になるはずです。

(証拠金の金利は無視しています。)

ハードフォークの支給がない分、FXの方が低くてもいいくらいのものです。

しかし実際は12月半ばにはFXが常に20%程度現物価格よりも高い状態になっていました。

1ビットコインが200万円でトレードされていれば、1ビットコインFXは240万円でトレードされている、という状況です。

12月17日には一時30%を越えるくらいの乖離もありました。

12月18日に取ったスクリーンショットですが、

高値を見てもらうと左のビットコインが227万円に対し、右のビットコインFXが293万円と乖離が約30%になっていることがわかります。

僕自身がビットフライヤーを使い始めたのが12月1日からと新参者なので古いことはわかりません。

ただその12月1日時点での乖離はだいたい5%から10%程度でした。

何とか裁定取引ができないか、ハードフォークをただでもらえないか、と考えて乖離を見ていました。

すぐに10%越え、20%越えになってしまいましたけどね。

12月1日時点のビットコインの価格が130万円くらいだったので、その後の急騰に合わせて乖離が開いていったことがわかります。

普通の金融商品であれば裁定が効くのですが、ビットコインFXでは現渡と現引に20%の手数料がかかります。(後述)

少ない資金で大きな勝負ができるビットコインFXが、上昇相場の中で割高に買い進まれ乖離が拡がり続けた、という状況になりました。

そもそもどんなルールを適用するのか

実際の取り入れようとしているルールの内容は以下の通りです。

【重要】

 Lightning 現物(BTC/JPY) と Lightning FX の価格乖離縮小を目的とした施策実施の検討について Lightning FX をお客様に安心してビットコイン取引を出来る場としてご利用いただくため、Lightning 現物(BTC/JPY)と Lightning FX の価格乖離の縮小を目的として、近日中に以下の施策の実施を検討しております。 価格乖離が当社の定めた一定水準以上になった場合には、価格乖離が拡大する方向の約定をされたお客様から約定金額(日本円)に応じた金額を徴収し、縮小する方向の約定をされたお客様に付与する取引ルールです。 徴収・付与する金額は約定金額(日本円)に対して価格乖離の程度に応じて決定される比率を乗じて算出されます。 施策の詳細については引き続き検討をいたします。 なお詳細について個別のご質問にはお答えいたしかねます。

簡単に言うと、

一定以上の乖離が現物とFXの間にあった場合は、売り手もしくは買い手から手数料を徴収し、それを反対側に与える、ということです。

例えばFXが20%程度現物よりも高い状況であれば、

FXの買い手から手数料を取り、売り手にその手数料を渡す、

ということです。

逆にFXが現物より低い状況であれば、売り手から買い手にお金が動く、ということになります。

ただし詳細は引き続き検討中ということで、

  • どのくらいの乖離の時に手数料が発生するのか
  • どのくらいの手数料がチャージされるのか

については全く今の段階ではわかりません。

新しいルールの設定が発表されてマーケットは?

このアナウンスがあった後、常時20%程度あった乖離が10%程度までに縮小しました。

同時にビットコインもビットコインFXも急落しました。

なぜビットコイン全体が下がったのでしょう?

ビットコインとビットコインFXの裁定取引

じつは最初に少し書きましたが、ビットコインFXを使って、現物のビットコインを引き出したり、現物のビットコインを相手方に渡したりできます。

Lightning FXで現引・現渡による決済はできますか?

ここにあるように、Lightning FX板の加重平均約定価格 x 建玉数量 x 20%で算出した日本円の金額でFXを決済することができます

理論的には20%を越える乖離になれば、FXを売って、現物を買い、現渡を申し込めばほぼノーリスクで利益になります。

ツイッターでも高名な方がつぶやいています。

ですから30%程度の乖離があった後は、乖離は裁定が効かないギリギリの20%で推移していたのだと考えています。

裁定ポジション、ヘッジポジションの比率は?

裁定ポジションの場合、1ビットコイン=160万円を買い、1ビットコインFX=200万円を売って、ポジションを組んですぐに現渡に申し込んで終わりです。

ただこの場合は20%のコストが必要なので結局損益は発生しませんが・・・。

では今持っているビットコインのポジションをFXを使ってヘッジしようと考えた場合どうするべきでしょうか?

例えばビットコインの現物を持って、FXを売ってハードフォークだけもらおう、なんて考えている場合です。

このときも1:1で取引していいのでしょうか。

裁定ポジション同様に1ビットコイン=160万円を買い、1ビットコインFX=200万円を売って、ポジションを組んでみましょう。

裁定もしくはヘッジポジション作成後、ビットコインの価格が上昇した時

このポジションをそのまま持ったまま、FXが240万円まで上昇したとします。

現引、現渡はFXの価格を中心に行われるので、FXを中心に考えます。

この時、乖離が20%のままでFXが上昇した場合、現物はその0.8倍の192万円になっているはずです。

この場合には、評価上はビットコインが192万円-160万で32万円の儲け、FXは240万円-200万円で40万の損になり、トータルの評価損益は-8万円になってしまいます。

裁定ポジション作成後、ビットコインの価格が下落した時

同様に1ビットコイン=160万円を買い、1ビットコインFX=200万円を売って、ポジションを組んだとします。(20%の乖離)

この後ビットコインFXが160万円まで下落したとします。

この時、乖離が20%のままでFXが下落した場合、現物はその0.8倍の128万円になっているはずです。

この場合には、評価上はビットコインが132万円-160万円で28万円の損、FXは200万円-160万円で40万の損になり、トータルの評価損益はプラス12万円になってしまいます。

正しいヘッジ比率は?

上で見たように、同じ1ビットコインづつ売り、買いのポジションを建てると、実はその後のマーケットの動きで損益が発生します。

これではヘッジとは言えません。

あくまで乖離が変わらないという前提にはなりますが、

ヘッジすべき数量は価格の比にすればよいのです。

簡単に言えばビットコインを160万円分買ったら、ビットコインFXも160万円分売るのがヘッジになります。

乖離20%であれば、1ビットコインに対して、0.8ビットコインを売っておけばヘッジになるわけです。

そうしておけば、万一ビットコインがゼロになったときを考えても、損益は発生しませんよね。

ただこれも乖離がどのくらいかによって比率が変わってくるから注意です。

なぜルール発表後にビットコインが下がったのか

ではルール発表後にビットコインは下がったのでしょうか。

ビットコインFXについては買い手が不利になりそうなので、売られるのはわかります。(実際そうなのかは疑問、後述)

でも現物も同時に下がりました。

その理由は乖離率の変化に伴う、ヘッジ比率の変更にあると考えています。

ビットフライヤーのビットコインFXを使ってヘッジをかけていた人も多いと思います。

20%の乖離を前提に1ビットコインを持っていた人は0.8ビットコインFXを売っていたわけです。

しかしルール発表後に乖離率が約10%まで下がりましたから、1ビットコインに対して0.9ビットコインFXを売る必要が出てきます。

実際にポジションを持っていた人がヘッジポジションを維持するためには、

  1. 持っているビットコインの10%の金額分のビットコインFXを売り増す
  2. もしくはビットコイン自体を10%、売却してしまう

のどちらかをやらなければいけません。

どちらにしてもビットコイン全体に売り圧力がかかったわけです。

日本の1取引所が行ったルール変更がビットコインの価格に影響を与えるということは、いかに日本人がのビットコイン市場で大きな地位を占めているか、という証拠だと思います。

回だけでなく、ビットフライヤーのサーキットブレーカー制度で以前ビットコインが急落した、という話もありましたからね。

「ビットフライヤー サーキットブレーカー 急落」などで検索するといろいろと出てきます。

ビットコインの大暴落と理由~ロスカットによる悲劇~

ビットコイン下落の原因サーキットブレーカーとは?

今後、現物とFXの乖離は無くなるのか?

しかしこれで乖離が無くなるかどうかは微妙だと考えています。

ルールの変更の詳細はこれから発表されます。

しかし単純に買う時、売る時にチャージがかかるだけだとすると、結局買い建て時に手数料がチャージされるものの、その後の決済時に結局チャージが戻ってくることになります。

特にデイトレならば、売り買いの間に乖離がそれほど急変しないでしょうから気にする必要はなさそうです。

またチャージの金額が小さいものであれば、ビットコインのボラティリティの大きさを考えると小さなコスト、と思うかもしれません。

実際広いオファービッドの取引所でトレードして儲けている人もいますからね。

またチャージが大きすぎると、売り買いを建てるときと決済するときのコストが違いすぎる可能性があるので、違う取引所の証拠金取引やレバレッジ取引に顧客が流れてしまうかもしれません。

ビットコインFXの流動性が魅力のビットフライヤーですが、顧客が減るとビットコインFXの魅力が半減してしまうかもしれませんね。

詳細なルールを見てみないと何とも言えない

実は自分はビットコインFXでヘッジポジションを作っていました。

12月28日の発表で乖離が縮小したところですべてのポジションを閉じてしまいました。

もしかするとルールが功を奏して、このまま乖離がなくなるかもしれません。

しかし上に述べたように、ルールが軽微なものであれば、乖離が再び20%程度に張り付く可能性があるからです。

それなりの利益になったので、いったんポジションを閉じて様子を見ているところです。

今後のビットフライヤーのルール詳細発表に注目しています。

それ次第ではまたサーキットブレーカーや今回のルールアナウンスの時のように、ビットコインマーケット全体に影響を与えるかもしれませんから。


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